ホール、パウダー、ドライ、フレッシュ、脱水。

ぼくはスパイスやハーブをたくさん使います。使うと言っても河さん程じゃないんだけど。クミン、カルダモン、クローブローズマリー、バジル、タイム。数え上げればきりがないですが、毎日のように使います。同じスパイスでもホールで使うのかパウダーを使うのか。生なのかドライなのか。どちらかを選んだり、両方をタイミングを変えて使ったりしています。例えばカレーやスパイスの効いたお肉料理等にクミンを使う場合、下味にはパウダーを、出来上がり直前にはホールを使っています。普通クミンシードを使う場合、オイルで炒めて香りを出したりしますが、僕は盛りつけ後に直接、パラパラと数粒振りかけます。クミンシードをかじるとパウダーと同じ味がもちろんしますが、その他にもクミンシード独特の味わいが、します。この感覚を一皿に2〜3回、味わってもらえればいいと思っています。ちょうどうまい具合に噛めないとこの味がしないので、2〜3粒でドンピシャ2〜3回味わうのも難しいだろうから、5〜6粒入れます(細かい)。カルダモンは香りが欲しいだけなので、ミルでつぶしてパウダーにして最後に振りかけています。最初に入れても香りが飛ぶ。クリーム煮などにはマスタードシードも使います。これも噛むとおもしろい。
タイムやローズマリーは、パンに入れたり煮込んだりする時はドライを、パスタソースやラタトゥイユなどの時は、煮込みが終わって火を止めてから入れます。ローズマリーとか、煮込むとバラバラになってややこしい。FOODさんに教えてもらったパンチェッタのように脱水が必要なものを作るときなどは、もちろんドライを使えと言われています。
ローズマリー等でも品種があるのか土壌によって違うのか、入手先によって風味が違う気がします。ぼくは温室育ちのものより庭に生えてる普通の路地植えの方がマイルドで使いやすいです。そういう具合に思っております。
脱水というのは、ざっくり言えば調理というのは加熱も塩漬けも全て脱水な訳ですが、脱水の仕方によって風味が変わります。例えばミートソースを作る場合、弱火で水分をすっかり飛ばしてから作ると、肉臭さがなくなります。キャベツもしんなり炒めて水分を飛ばしてからスープを作ると、キャベツ臭さがなくなります。うまみは流したくないけど、水分は飛ばしたいというわがままな脱水が調理という訳でしょうか。ラジさんやフレデリカちゃんでは豚肉をよく使いますが、仕入れて、新鮮だからすぐ使うかというと、そういう訳ではなく、まずキッチンペーパーで包んで水分を出します。1時間もしたらペーパーが水分をきっちり吸い込んでいます。塩豚と同じことですが、時間のかかる塩抜きをしなくていいので必要な時にいつでも使えるこの方法で保存しています。水分量が減るから鮮度も落ちにくい。酸化と繁菌を防ぎます。ご家庭等では、しっかり水分を吸い込んだペーパーを取り替えれば、ぐっと日持ちもします。焼き時間も短縮、うまみの流出も少ないですので、ぜひお試しを。
肉の臭みも野菜の臭みも脱水のタイミング次第。ニンニクもオイルで加熱脱水すればおいしくなります。生のままスープに入れたらキッツ〜イのはラーメン屋で身にしみて知ってる人も多いはず〜。調理スタッフ達は何度も何度もこんなことを言われています。毎日だから、くどいね。かわいそうだけど。
明日も全員で脱水しまくります。脱水イブ。
あ、ぼくの携帯がアイホーンに変わるらしいです。ノビさんに習って。