うひょー山村さんがくるーて

先日電話がかかってきました。
「山村です。おぼえてますかー・・」
うひょー!おぼえてますめっちゃおぼえてます。BOOKLUCKの山村光春さん。今度取材できてくれるそう。山村さんがー!やたー!
おもえばカフェをはじめた頃、あっちこっちいって途方に暮れて、山村さんの書かれた本にであって、なんとかお店を形作ることができたのでした。
ぼくが10〜20代の頃、カフェなんて小洒落た呼び名などなくまだ喫茶店あるいはサテンと呼ばれていた頃。ぼくは毎日のようにそこに通っていました。目的なんてぜんーぜんない。一人で行ったり親しい人と行ったり。携帯なんてないから待ち合わせはいつも喫茶店で時間も適当。何かを話す日もあれば、一言もしゃべらずずっと本を読む日もあったり。西日の気持ちよい午後もあれば、土砂降りの日もあった。楽器を持ち込んで遊んでやりすぎとヘタ過ぎで怒られたこともあった。ぼくは当時もくもくと本を読んでいたので、何かを書いたりまとめたりするのには家の机より喫茶店のテーブルの方がノリにノッてスラスラ書けたりして、でもあとで読み返して赤面することもあった。友人とも若かりし故の壮大な話をいつもしてた。油断して寝てったこともあるし。
店内にはいろんな本やレコードがあって、イーグルスもあればボブマーリーもあり、ベルベットアンダーグラウンドもあった。親鸞もあればAKIRAもあった。ロバートジョンソン的な写真も貼ってあったし、インディアンのポスターもあった。流行の小説がどうも合わなくて、小島剛夕*1の無理問答劇画読んでもし自分だったらどうすべきか悩んでいた。カウンターカルチャーというものはその頃にはもう風化してて、マスターは寡黙でヒゲも生えてて、へんなTシャツ着てて店も黄色くくすんでた。慣れてくるとメニューも出してこないし、最小限のことしか言わない。外国産のビールや、チャイもここで覚えた。大事そうにショーケースに入っていたチーズケーキも好きになったし、カレーはなんだか変わってて気が向くと大盛りにしてくれた。コーヒーが美味しかったのかどうかは正直覚えてないけど、俺はこだわってるんだよ実はという目線は覚えてる。んで、お店はあっけなくなくなった。その後はラーメン屋になった。
多くの出会いがある場所だった。文化も人も。その頃であった人たちとは今もなかよくしてるし、ぼくとおなじく同業になった人たちもいます。
ぼくの中にはその当時のモノが濃厚に残っているし、その頃口にしたものでそのままうちのメニューになっているものもあります。残念ながら当時のお店たちはひとつも残ってないので、そのメニューだけでも残していきたいーというより、いまでもおいしいと思うので作り続けてるだけなんですが。
あっちこっち行って途方に暮れてブレかけてた時、山村さんの本を読んで全部思い出した。出会いも別れも、良い時間も悪い時間も。そこにいた時間は、人生にとってかけがえのない時間であり、儚くて貴重な場所でした。お得なランチとか限定スイーツとか無農薬だとか、そゆのもいいけどその場所にはそんなのなかったなあ。今となってはただただ眩しい時間。
山村さんの本を読んだときに、そうだそういう場所なのだと思いました。
えーそして今に至る・・・あわわ。はたしてそういう場所になってんのか。まいにち野菜と仕込みのことしか考えてへんのちゃうやろかぼく・・・
山村さん楽しみです。どういう風にしたいのか、どのへんができてないのか、ぼくの人生と同化しているこのお店のことをいっぱい話したいです。
でも実は不安でいっぱいです。
http://www.bookluck.jp/

眺めのいいカフェ

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家具選びについて知っておくべきいくつかのこと。

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カフェをはじめたくなる本、カフェをやめたくなる本

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*1:小島先生は四日市出身です